2019年2月18日(月) 【アトピー性皮膚炎】
アトピー性皮膚炎の薬について
アトピー性皮膚炎は、様々な要因がきっかけで肌のバリア機能が低下し、さらに外的要因が重なり合い、かゆみのある湿疹・炎症を伴い、慢性的に再燃を繰り返してしまう多因子性の疾患だ。治療薬には、症状などに合わせた薬がいくつも存在する。
薬のタイプ
アトピー性皮膚炎の重症度によって、「塗り薬(外用薬)」「飲み薬(内服薬)」と使い分けられる。重症時の場合は内服薬を選択される場合があるが、ほぼ塗り薬がメインだ。
副作用
一番恐れられているのがステロイド。しかし、外用薬として使用する場合であれば、飲み薬ほどの副作用はないのだ。
ステロイドの副作用が問題になるのは多くの場合、内服薬や注射薬による直接体内に取り入れる場合だ。一方、塗り薬であれば、塗った部分のみに作用させるため、副作用は抑えつつステロイドの効果を引き出せるのだ。
薬の種類
・ステロイド外用薬
標準的な治療として使われているが、5段階の強さがあり、症状などに応じて選択される。
*顔は薬の吸収率が高いため、比較的弱いランクを短期間使用する。
【 ステロイド外用薬のランク 】 | ||||
・プレドニン | ・キンダベート ・ロコイド |
・メサデルム ・リンデロンV ・プロパデルム ・ボアラ |
・アンテベート ・ネリゾナ ・マイザー |
・ダイアコート ・リンデロンDP |
WEAK (最も弱い) |
MILD (弱い) |
STRONG (強い) |
VERY STRONG (とても強い) |
STRONGEST (最も強い) |
・免疫抑制剤(外用薬)
アトピー性皮膚炎は、免疫系の異常が大きく関わっているとも言われているため、ステロイドで効果が不十分なケースや、顔などステロイドでは副作用が出やすい部位には免疫抑制剤の外用薬が選択される。
・かゆみを抑える抗ヒスタミン薬
アトピー性皮膚炎の大きな問題である「かゆみ」。かゆみによって傷口が増え、皮膚のバリア機能がさらに低下してしまい、悪循環に陥るため、かゆみを抑える薬として抗ヒスタミン薬が選択される。
・保湿剤(スキンケア)
バリア機能が低下した肌は、乾燥やかゆみが生じてしまうため、これらの症状を和らげるために保湿剤を活用する。肌を清潔にし、保湿や保護をすることで症状を抑える。
アトピー性皮膚炎の根治には2大原因、皮膚改善・腸内改善を同時に行うことが必要
アレルギーやアトピーの原因はこれまで多く語られてきた。遺伝や様々なアレルゲンが大きく影響している説が大半だったが、大人も子どもも過剰な免疫反応とその免疫を刺激する細菌が2大原因である事が有力視されている。
2大原因のひとつは皮膚表在の細菌の「黄色ブドウ球菌」の大量発生
2015年4月21日、慶應医学部とアメリカ国立衛生研究所はアトピー性皮膚炎の原因が皮膚の表面に誰もが持っている「黄色ブドウ球菌」が大量に発生しアレルゲンになっている事を解明した。
本来、皮膚は善玉菌のはたらきにより弱酸性から中酸性であることで黄色ブドウ球菌など「有害菌」の増殖を抑えることができている。また同時に、およそ28日間隔の規則正しいターンオーバーを繰り返すことでバリア機能を保ち、これら有害菌からの刺激も受けずにいられる。これは、大人も子どもも同じだ。
しかしアトピー性皮膚炎の皮膚は、本来、弱酸性から中酸性にあるべき皮膚が壊れ乾燥し、黄色ブドウ球菌など有害菌が増殖しやすい弱アルカリ性化してしまう。
その結果、有害菌の刺激によりバリア機能が崩壊し、さらにターンオーバーが乱れ、黒い過酸化脂質を沈着させまたかゆみを増幅させるという「悪化サイクル」をたどる事になる。
皮膚自体を改善を早めるには
大人も子どもも改善方法は変わらない。細菌を増殖させにくい弱中酸性クリームでの抗菌・保湿と、28日間隔の規則正しいターンオーバーに戻す為のミトコンドリア活性、黒ずみの原因である過酸化脂質の除去が有効である。
2大原因のもうひとつは腸内の免疫バランスの改善
アトピー性皮膚炎の2大原因のふたつめは、「免疫の異常反応」いわゆるアレルギー反応である。アトピー性皮膚炎の子供が同時に食物アレルギーである事が多い理由もこれである。
免疫は腸内環境と密接な関係がある。腸内の悪玉菌の増殖は腸管免疫のバランスを崩し、腸内表皮反射として皮膚にニキビや吹き出物といった形で現れるのだ。
胃を壊すと肌が荒れる。それと同じだ。
また、腸内環境が悪くなるということはターンオーバーの乱れも招いてしまう。
近年は大手企業がR1やカルピスといった乳酸菌製品を販売しているが、むやみに摂取してもアトピーには逆効果となる場合もある。
老若男女すべてにおいて言えることだが、アトピーというのは免疫が高いことが多く、さらに免疫を高めても免疫過剰になり、悪化してしまうこともあるのだ。アトピーの場合、免疫を高めるのではなく、免疫Th1とTh2のバランスを整える必要がある。
ステロイドなど皮膚のケアをしていてもアトピーが改善しなかったり、一時的に治ってもすぐに再発してしまうのは、この免疫バランスが不安定になってしまっているからなのだ。
アトピー性皮膚炎の2大原因を知り、根治させる為の要点
皮膚改善のために適切な保湿クリームを選ぶ
1、黄色ブドウ球菌対策
細菌の増殖を抑える弱、中酸性のpH値の保湿クリームを使用する。
2、悪化サイクルからの脱却対策
皮膚の改善サイクルを早める為のターンオーバー促進成分のあるもの。
3、かゆみ原因の除去による早期の脱ステロイド対策
黒ずみの原因、抗過酸化脂質作用のあるクリーム。
腸内改善のために適切な乳酸菌を選ぶ
1、免疫力を高める効果を求めない、免疫バランスを整える乳酸菌
インフルエンザ等に有効な類の乳酸菌はアトピーにとっては有効でない場合がある。
2、乳酸菌製品中の数が効果に比例する訳ではない
1袋に○○億個の乳酸菌などの商品も多くあるが、必ずしも菌の数が効果に比例するのではない事を理解しよう。
最後に
- 皮膚自体をステロイド等で改善しても免疫異常があればまた再発する。
- 免疫異常があっても皮膚の細菌等のアレルゲンを除去できなければまた再発する。
→ この2点をふまえて、皮膚原因と免疫原因の2つの原因を同時に改善する事が根治への近道となる。
さらに皮膚は、28日間隔の正常なターンオーバーを繰り返すことでバリア機能を保ち健康な状態でいることができる。そのため皮膚改善と腸内改善を28日サイクルでおこない評価することが大切だ。これは、大人から子どもまで性別関係なく言えることなのだ。
そこで注目されているのが「28日皮膚免疫トレーニング」という考え方だ。ターンオーバーの28日周期にそって皮膚改善と腸内改善を同時に目指すという。大人も子どもも全ての方がチャレンジできる。

ステロイド薬は副作用の不安などの指摘はあるが、強度なかゆみを鎮静させるにはやはり有効でもある。
しかし、早期に悪化サイクルから脱却する為にもこの2つの原因を「28日」サイクルで改善していく事が近道だと言えるのだ。